今月の一枚　　(2010.8.20)　　　戻る　　　次へ　　　 過去のページ一覧へ

　名古屋市南区と緑区をはさんで天白川と扇川が並行して流れているところに「大星

橋」が架かっている。大きく立派な橋だが車は通ることは出来ない。この橋の上流に

は、名鉄名古屋本線、国道１号線、ＪＲ東海道新幹線と在来線。下流には、名古屋高

速３号、国道２３号、２４７号、名鉄常滑線など名古屋を出入りする主要な交通網が

集中している。この辺りから河口までは、コンクリートの堤防で囲まれていて川幅も

広く何となく��潮の香り�≠�感じる風景が続く。

　明け方降った雨がやんで、日差しは弱いが風もなく蒸し暑い朝。少し歩いただけで

も汗ばんで来る。橋から南区方面を眺めるとガードレールの上にあるフェンスのよう

なところに何か落書きらしきモノがある。それは「愛」の字が上半分しか書いてない

が「愛しとる」と読める。何だ？と思ってカメラを向けていると「何を撮っているん

ですか」と男性の声。私は、あの落書きがちょっと面白いと思いましてねと言いなが

らシャッターを切った。

　男性は「あんなものを撮って何に使うんですか」とけげんそうに言った。あの落書

きから色んなことを想像しませんかと答えると男性は「気にもとめなかったけど、た

だの落書きが写真になるんですかね〜」と言いながら立ち去った。

　確かに、男性の言うようにただの落書きかも知れないが、大切な人へのメーセージ

とも思えるし「愛」の字を半分だけ書いたのには何か理由があってのことかも知れな

い。もしかして、ここで出会った女（ひと）に思いを伝えたかったのか、そんなこと

を連想してしまう。

　「愛している」ではなく「愛しとる」という言い方はこの地方の方言だが、はたし

てこの「愛」は実ったのかどうか。そんなことを考えながら「こんなもの作品じゃね

えよと」言われるかも知れないと思いつつシャッターを切ってしまう。

名古屋市南区　　２０１０年　８月　８日 撮影

キャノンEOS５ＤＭａｒｋ�U　　　１７〜４０ミリ　Ｆ１１　オート　　　ＩＳＯ４００　　ＷＢ太陽光