今月の一枚　　(2010.9.20)　　　戻る　　　次へ　　　 過去のページ一覧へ

　
　この夏の暑さは記録的で９月に入っても連日猛暑日が続いた。この日も「名古屋地

方では予想気温が３８度になるから熱中症に注意するように」とテレビなどで呼びか

けていた。こんな日は海にでも行ってみようと河口の潮見町へ出かけた。

　何時もだと大型のタンクローリーなどが行き交う港区船見町辺りは土曜日の午後と

言うこともあって車も少なくひっそりとしている。車の温度計は外気温を４１度と表

示していた。左手に高さ１５０メートルもある中部電力新名古屋火力発電所の白い２

本の煙突が青空にひときわ映える。さらに南へ一直線に進むと伊勢湾岸道路の潮見イ

ンターがあり、道路はこの高架下を抜けると突き当たりになっている。

　対岸には東海市の新日本製鉄名古屋製鉄所の赤茶けた工場が広がっていて、いくつ

もの煙突から真っ青の空に煙が昇っている。天白川はここから伊勢湾へ流れて行く。

　この辺りは、潮見ふ頭と呼ばれて年間１万隻を越える船が出入りしているが、中で

も完成車を運ぶ自動車専用の大型船が目立つ。海辺に立つと風はなま暖かく足元のコ

ンクリートは、まるで焼け焦げたフライパンのように暑い。私が着いた時には人もま

ばらで数人が釣り糸をたれていたが、午後３時を過ぎると釣竿を手にした人たちが三

々五々やって来た。今は黒ダイを狙っているそうだ。

　容赦なく照りつける夏の光は、岸壁のコンクリートを何時もより白く眩しく感じさ

せる。目もくらむような強烈な暑さの中を歩いて行くと、少し先に猫の額ほどしかな

い日陰があった。「ラッキー」私は滝のように流れる汗をぬぐいながら焼けた身体を

影に入れた。すると、なま暖かかった海風が少しだけ涼しく感じた。足元の雑草も焦

げた身体を癒すように日陰を通り抜ける風に揺れている。傍には誰が置いたのか青い

容器の中で「アサリ」が、ピッピッと勢いよく潮を飛ばし��一息�≠ﾂいていた。

「むちゃくちゃ暑い」潮見ふ頭のわずかな日陰は、人だけでなく小さな生き物や植物

が��ほっと�￥o来る空間だった。

名古屋市港区　　２０１０年　９月　４日 撮影

キャノンEOS５ＤＭａｒｋ�U　　　１７〜４０ミリ　Ｆ８　オート　　　ＩＳＯ２00　　ＷＢ太陽光