今月の一枚　　(201５.2.20)　　　戻る　　　次へ　　　 過去のページ一覧へ 　　　　音楽家を撮り続ける写真家として世界的に有名な木之下晃氏が先月１２日に亡くなっ 　　　た。 ７８歳だった。 　　　　演奏中のピアニスト、アルフレッド・ブレンデルさんの眼鏡に鍵盤が映り込んでいる写 　　　真と言えばご存知だろう。 木之下氏が１９７４年に撮影した代表作のひとつだ。 　　　　私は２００２年９月木之下氏の講演を聞く機会があってその内容をメモ していて今で 　　　も時々読み返している。その一部を紹介しよう。 　　　　仕事でも趣味でも好きなことをやることで、それも長く続けることが大切だ。 好きなこ 　　　とを長くやる。そうすると（写真が）たまってくる。 たまると写真展とか写真集とかやりた 　　　くなる。それがきっかけで広がっていく。 ひとつのことを続けると言ことは知識が誰より 　　　も豊富になる。 このことはプロでもかなわない。 　　　　要約するとこんな内容だったがクラシック音楽を専門にして世界の音楽家を長年撮り 　　　続けてきた人の話だから説得力があった。 　　　　私は当時すでに 天白川の撮影を続けていて、この年の１０月に開催する６回目の個 　　　展の準備していた時で、写真集を出す２年前（２００４年 「フォトスケッチ天白川」出版） 　　　だった。それに写真とそれほど関わりのない人や団体とのお付き合いも増えて、近くの 　　　小学校から「天白川の写真とお話」の依頼をいただくなど単に好きな写真をやっている 　　　だけではおよそ考えてもいなかった「写真人生」を送っていた。このタイミングで氏の話 　　　を聞けたことで自分がやって来たことに自信が持て、大いに勇気づけられたことを今で 　　　も覚えている。 　　　　心からご冥福をお祈りします。 　　　　さて、今月の一枚を撮影した２月１０日。名古屋地方でも雪がぱらつくと言う予報だっ 　　　たので 「氷」や「降雪」の風景を期待して出かけた。 家を出たときはそれほどの寒さを 　　　感じなかったが川に出てみるとさすがに空気は冷たい。 氷や雪の景色はなかったが、 　　　かすかに赤味を帯びた寒色の空に裸になった冬木立がなんとも寒々しい。川面に映っ 　　　たその風情は、緩やかな波紋や浮かんだあぶくなどとのとり合わせで一枚の絵画をみ 　　　ているようだった。 　　　　名古屋市天白区植田南　　２０１５（Ｈ２７）　２月１０日　撮影 　　　　 フジフイルム　Ｘ−Ｅ１　　１８〜５５ミリ　７．１オート　　　ＩＳＯ２０００　　ＷＢ太陽光