７月７日、この夏初めて桜の木の茂みで鳴くセミの声を聞いた次の日梅雨が明けた。 　昨年より１５

日も早かった。

　今月の一枚は、梅雨明けの翌日に「手作りレンズ」 で撮影した作品にした。　このレンズは昨年だっ

たと思うがキャノンのイベントか 何かで作ったレンズで、お菓子の入っていた「 筒状」の入れ物に穴を

開けて虫眼鏡のレンズを一枚付けただけの簡単な物だが、少し望遠気味で深度は浅く、丁度, センタ

ーフォーカスのフィルターで撮影したような写り方をする。 私は、画面の周辺が流れるようにボケる曖

昧な描写が気に入って、たまに使っている。　

　 暑さに慣れていなかったせいかも知れないが、梅雨明け直後の蒸し暑さは格別こたえた。　 この日

も起き抜けに聞いたラジオは相変わらず熱中症に気をつけてほしいと言っていたが、堤防を歩いてい

ても��早朝の爽やかさ�≠ﾍまったく感じられず、散歩したりジョギングする人たちのシャツの胸元や背

中も汗でぐっしょり濡れていた。

　アスファルトの道から河川敷に降りてみると、わずかながら川を渡ってくる 風を感じたが、朝露に少

しだけ濡れた草原は草いきれでむんむんしていた。 水辺に目をやると、小さな砂地が何時もよりも白

くまぶしく感じ、砂地に生えた木々が小さな影をつくっていて、その影が砂の白さを一層 際立たせてい

た。　 一見、平凡な光景に見えるが、夏の光りを意識していないと カメラを向けることはなかったかも

知れない。　 私の目には、夏の太陽にさらされたこの水辺の風景が、まぶしく、ぼんやりとにじんで見

えた。

　デジタルカメラの鮮明な画像はアナログ時代に出来なかった表現を可能にしたが、写真で思いを表

現するためには鮮明であれば良いと言うことでもない。　夏の光をいっぱい取り込んでくれたこのレン

ズは、この日、このとき見た天白川 の印象をそのまま表現してくれたと思っている。 それでも「やはり

写真は鮮明でなければ」とおっしゃる人もいると思うが「遊び心」からでも、新しい発見があれば楽しい

ものだ。
　

　名古屋市天白区植田　　　　２０１３（Ｈ２５）　７月９日　撮影

　 キャノンＥＯＳ５Ｄ　　手作りレンズ ＋2/3補正　　ＩＳＯ４００　　ＷＢ太陽光