川沿いのアジサイが咲いて、ホタルの便りが聞かれはじめたとたん入梅した。 　この原稿を書いている今(19日）

台風4号が接近中で、今夕にも上陸すると伝えられ影響が心配だ。

　 さて、五月末から今月はじめにかけて部分月食やら金星が黒い点となって太陽を横切るなど、数十年、数百年

に一度と言う天体ショーが続いた。

　中でも、先月２１日の金環日食は多くの人たちが天を見上げ幻想的なシーンに感動したことであろう。 私も午前

６時過ぎあらかじめ決めておいた天白川に架かる人道橋の下でカメラをセットした。 金環日食と、それを橋から観

る人たちの姿が天白川の川面に映るシーンをイメージしていたからだ。

　ところが日食が始まると、それまで見えていた太陽が雲に隠れてしまった。　橋の上で空を見上げていた数人の

人たちから落胆の声が聞こえ、 写友からも携帯電話で「もうあきらめた」と言ってきたが、私はリングになるまでに

は少し時間もあるし 終わるまでの３時間くらいの間に雲もきれることを期待しながら暫く待つことにした。

　それから ３０数分経ったと思うが 「見える見える！」 と言う声に観察用のサングラスをかざした人たちの 視線が

一斉に東の空へ集中した。雲は多いものの欠けはじめた三日月形の太陽が見え隠れしている。いよいよクライマ

ックスを迎えるころには雲はすっかり無くなり、リング状の太陽がはっきり確認できると自分と月と太陽とが一直線

になった一瞬を実感した人たちから歓声があがった。

　普段は、この人道橋を無表情に行き交う通勤通学の人たちも、今朝は笑顔でお互いに感動を共にしている様子

が窺えた。　はるか昔、９３２年前には、この現象 を奇怪に思ったらしいが、次に観られる３００年後の人たちはど

んな状況で眺めるのか。そんなことを思いながら、草の生い茂った水辺で蚊に刺されながら撮影を続けた。

　リング状の太陽は、残念ながらイメージしていたように 川面に映らず 撮影することは出来なかったものの それ

よりも少し前に雲の合間から見え隠れする 三日月形の太陽は川面にくっきりと映った。　今月の一枚は橋から観

ている人たちを入れたため広い範囲を写したカットだが、それだと三日月形の太陽が小さくてはっきり しないため

に太陽だけを撮影したカットを拡大合成した。

　

　名古屋市天白区天白小橋　　　　２０１２（Ｈ２４）５月２１日　７時１０分撮影

　キャノンＥＯＳ５ＤＭａｒｋ�U　　共通　　ＩＳＯ４００　　ＮＤフィルター�ｂW使用　　ＷＢ太陽光

　　　　　　　　　　　　　　　　　　全体　　１１０ミリ　Ｆ１６オート　　　日食　　３００ミリ　Ｆ２０　１／８００