「いよいよ来たか」そんな思いでイーストマン・コダック社経営破綻のニュースに接した方も多いだろう。当面

は融資によって業務は続けられると言うことだが、フィルム愛用者にとってはさぞかし不安なことで 「ＦＵＪＩフィ

ルムさん頼みますよ」という心境ではないだろうか。

　写真に興味を持ちはじめた頃、ネガカラーしか撮影経験のなかった私にとっては 「何時かはコダクローム」

が夢だった。当時は「写真やってます」と言う人の多くがカラーポジフィルムを使い、しかもコダクロームを使っ

ている人は、いわゆる「本格派」のように見られていたからだ。

　当時、教えていただいていた先生は「ネガカラーで十分。ポジを使うのは１００年早い」という考えだったため

やっと「使用許可」が出たときは嬉しかった。 黄色い箱のパッケージからポジフィルムを出してカメラへ装着し

ただけで 「ベテラン」気分になってしまったことを覚えている。

　ほどなく 現像されてマウントに入れられたポジを ワクワクしながらライトボックスの光にかざしたときの感動

は今でも忘れない。　それは、深みのある色彩とイメージを超えた濃度に仕上がっていて、えも言えぬ雰囲気

を感じる写真だった。そんなはずはないのに「いっぺんに上手くなった」 と錯覚をしてしまうほど不思議な気持

ちになった。

　時代は変わり、デジタル画像をはじめてパソコン画面で見たときは、トキメキも感動もそれほどではなかった

のは何故だろうか？

　私も、今ではデジタルカメラ一辺倒になってしまったが、つい最近のこと「冷蔵庫に入っているフィルムはどう

するの」と、かみさんの声がした・・・・・コダクローム十数本が入っていたのだ。

　さて、日本列島はすっぽりと寒気に包まれて毎日のように「 この冬一番の寒さ」と報道されるなど、厳しい寒

さが続いている。 名古屋地方でも、２月１日から２日にかけて降った雪が１６センチ積もった。

　 久しぶりに雪化粧した川辺で弧を描くよう倒れたススキを眺めていると、冷たく暗い空から舞い降りてきた雪

が、��ひと晩中かけて　　ゆっくり　ゆっくり　積もっていった�＝@　そんな情景が浮かんできた。

　

　名古屋市天白区天白小橋下流　　　　２０１２（Ｈ２４）２月２日　撮影

　キャノンＥＯＳ５ＤＭａｒｋ�U　　２４〜１０５ミリ　Ｆ１１オート＋2補正　　ＩＳＯ４００　　ＷＢ太陽光