今月の一枚　　(2009.5.20)　　　 　　　次へ　　 過去のページ一覧へ

　私がはじめて��撮影旅行�≠ﾆ言うものを体験したのは社会人になって暫くたった１

９７２年頃、職場のカメラ好きの仲間から、当時しだいに姿を消して行ったＳＬの撮

影に誘われた時だった。

　その頃��ろうそく一本の灯りでも写せます�≠ﾆ言うキャッチフレーズで人気のあっ

た「ヤシカエレクトロ３５」（１９７０年製で、レンズはヤシノン４５ミリＦ１．７

レンズシャッターＢ〜１／５００）を使っていた私は��愛機�≠�携えて出かけた。

　撮影現場に着いて驚いたのは、カメラマンの多さとその装備のすごさであった。私

は、大きな三脚に望遠レンズを装着したカメラの砲列に混じって、少し戸惑いながら

小さなカメラを構えた。

　当時、ＳＬファンのあいだで有名だった��加太越え�≠ﾍ関西本線最大の難所で、牽

引するＤ５１（通称デコイチ）が後補機（最後尾からもＳＬが押していく）の力を借

りて、険しい急勾配の峠を越えていく勇壮なシーンだった。黒い煙をはきながらあえ

ぐように進む姿は迫力満点で、その音と特有の匂いに興奮しながら夢中でシャッター

を切った。
　
　数日後、期待に胸躍らせ出来上がった写真を見て落胆した。確かにＳＬは写ってい

るが、イメージしていた写真とはかけ離れていたのだ。それまで記念写真を撮って楽

しむ程度だった私は、この時はじめて「どうしてあの時の迫力を感じないのか」こん

な疑問を持った。

　さて今月は、日進市野方町で撮影した作品。川沿いの草木が青々と茂るこの辺りは

写真の題材も多く私の好きな場所。さっそく堤防を下りて川辺に立つと川面を通って

きた風が爽やかで心地よい。そっと川に入ってみると長靴を履いていてもひんやりし

た水の感触や流れを感じる。しゃがんで目線を低くすると水面に起伏があることがよ

くわかる。足元で揺れる造形は一瞬で消え二度と同じ形を見せてくれない。

日進市野方町　　２００９年　５月　１２日 撮影

キャノンEOS５ＤMark�U　　　２８〜３００ミリ　Ｆ11　オート　　　ＩＳＯ４００　　ＷＢ太陽光　　ピクチャースタイル スタンダード