燃えるような夏が過ぎ
いつもより遅れて
ひんやりした空気がやって来た
それを合図に
木々は葉を落とし
来る年の芽吹きに備える
こうして
天白川はいちばん静かなときをむかえる
いま あたりまえに思ってきた
季節の移ろいが
少しずつズレていく
優しい水音を聞きながら
川べりを行けば
からだいっぱいに季節を感じる
そんなとき
自然からの恵みを実感する
ところが
暮らしの快適さを考えるとき
自然の恵みのありがたさを忘れる
自分がある
明け方の川面に
佇む鳥たち
全神経を集中し
わずかな動きも見逃さない
川は魚を育て
魚は鳥たちの餌となる
何気なく見ている「食物連鎖」
そのバランスが危うくなってきた
暖かい光と風にのってやって来た
陽気な春が
息絶えそうな桜に
見事な花を咲かせた
草むらの虫たちがざわめき
青空に真っ白い雲 浮かび
今宵も ひとすじの光が語りかける
川のたもとに立つと
自然と人が調和する
あたり前の姿が見えてくる
清んだ空気と
せせらぎ
水の匂いと
草の匂い
そこには いのちの息吹がある
森と海をつなぐ川
それは 流域や海の生きものの生命線
この 天白川の自然を
後世にひきつぐことが
いまを生きるものの やるべきこと
